uzumaki blog|アートディレクター/グラフィックデザイナー 宮田圭介の日々を綴っております。

フォントのほんとうのおはなし

みなさんはいつもどのようなフォントをお使いでしょうか?

フォントは日本語(和文)だけでも約3,000種類以上あると言われています。みなさんがお使いのWindowsやMacにもデフォルトで数十〜数百種類ものフォントが搭載されていて、世界には数え切れないほどの多くのフォントが存在しています。

普段、資料やプレゼンスライドをつくるときによく使うフォントはありますか?お気に入りのフォントはなんですか?

違いなんてよくわからないし、いつも使っているデフォルトのフォントを…となりがちだと思います。ですが、フォントにはそれぞれ特徴や強みがあり、それを正しく理解して活用していくと、より効果的にお仕事ができるようになります!

今回のuzumakiブログではそんな「フォント」についてちょっと詳しくなれる、タメになるあれこれをお話ししていきます。

そもそも明朝体・ゴシック体とは?

日本語のフォントは大きく分けて2種類あります。「明朝体」と「ゴシック体」です。まずは、このふたつの違いについて解説していきます。

〈明朝体〉

・横線に対して縦線が太い
・横線の右端と曲がり角の右肩に三角の山「ウロコ」がある

〈ゴシック体〉

・横線と縦線がほぼ同じ太さ
・ウロコがほとんどない

「明朝体」と「ゴシック体」は日本語フォントの呼び方ですが、英語も大きく分けて2種類のフォントがあります。「セリフ体」と「サンセリフ体」です。

〈セリフ体〉

・縦線が太い
・文字の先端に装飾「セリフ(※明朝体のウロコに似ている)」がある
・明朝体に近い

〈サンセリフ体〉

・横線と縦線がほぼ同じ太さ
・セリフがない(サン=フランス語で「ない」という意味)
・ゴシック体に近い

「明朝体・ゴシック体」と「セリフ体・サンセリフ体」は一緒じゃないか!と思うかもしれませんが、正確には同じ意味ではありません。見た目は似ていますが、日本語(漢字)と英語(アルファベット)でそもそものフォントの成り立ちが違うので呼び方が異なります。話すと長くなってしまうので続きはまたの機会に。

あくまでも日本語は「明朝体・ゴシック体」、英語は「セリフ体・サンセリフ体」という呼び方です。

どう使い分けるの?

明朝体・ゴシック体は見た目の違いも明らかで、向いている場面・向いていない場面があります。この違いがわかると、もっと読みやすく見やすい資料をつくることができます。わかりやすいように図でお見せしながらこれから詳しく解説していきます。

明朝体の使い方

〈向いている場面・長所〉
はねや払い、縦横の線の太さに強弱があり“可読性が高い”→読み手に負担を与えにくいので、レポートや企画書などの紙で読む長文に向いています。

〈向いていない場面・短所〉
画面やスクリーン上では解像度によって読みやすさが左右される(解像度が低いと横線がかすれるなど)→遠くから見るプレゼンスライドは長めの文章でも明朝体は不向きです。

ゴシック体の使い方

〈向いている場面・長所〉
線の太さが均一で、遠くからでも見やすく“視認性が高い”→強調したい見出しや、遠くから見ても目立たせる必要がある屋外の看板や大判のポスター、プレゼンスライドなどに向いています。

〈向いていない場面・短所〉
本文などの長文では太いゴシック体は圧迫感があり、読み手に負担を与えてしまう→小さい文字はつぶれてしまいます。

このように「明朝体」と「ゴシック体」には明確な役割があるので、ふたつを使い分けるとより効果的です。ぜひ参考にしていただき、上手に使ってみてくださいね!

よく見るあいつはどこの誰?

一般企業にお勤めの多くの方は普段Windowsをお使いだと思います。お仕事をする上で欠かせないツールがMicrosoft社の「Word」「Excel」「PowerPoint」ですよね。これらのソフトでは自由にフォントを変更することができます。

文字を入力するとき、最初から設定されているのが「游明朝・游ゴシック」というフォントです。現在はほとんどのデフォルトフォントが「游明朝・游ゴシック」ですが、以前は「MS明朝・MSゴシック」でした。名前に聞き覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

“MS”に馴染みがあったのに、急に“游”に変わって使いづらい経験をした記憶はありませんか?“MS”と“游”はなにが違うのか、どの会社が開発したフォントなのか気になりませんか?

MS明朝・MSゴシック

MS=MicroSoftの略称でマイクロソフト製品に標準搭載されています。フォントを制作したのはプリンターなどを製造する会社「リコー」です。「リョービイマジクス」という会社が製作した字母(じぼ 活字を鋳るための型)がもとにされました。現在は販売権がマイクロソフトに譲渡されています。

もともと、PCのディスプレイ解像度が現在より低い時代に開発されたため、低解像度ディスプレイ上での視認性が重視されていて、文字としてはあまり美しくありません。

〈MS明朝体の特徴〉
・横線が細いのでかすれやすい

〈MSゴシックの特徴〉
・統一感がなくバラバラに見える
・文字の線の太さが違う
・不自然な直線部分がある
→すべてのWindowsPCにインストールされているため互換性は高いですが、見づらく、デザインには適さないフォントです。

游明朝・游ゴシック

「MS明朝・MSゴシック」は長くマイクロソフト製品でデフォルトのフォントとして利用されていましたが、もっと読みやすく美しく見えるようになって新たに登場したのが「游明朝・游ゴシック」です。

「游明朝・游ゴシック」もマイクロソフト製品に標準搭載されています。「字游工房」というフォント専門の会社が製作しました。「游明朝」は「時代小説が組めるような明朝体」をキーワードに、単行本や文庫などで小説を組むことを目的に開発されました。実際、紀伊國屋書店の電子書籍上のフォントとして現在も使用されています。

〈游明朝体の特徴〉
・丸みのあるウロコややわらかい曲線が明るく上品な雰囲気

〈游ゴシック体の特徴〉
・字が小さめに設計されているので、文字サイズが小さくてもそれぞれが干渉せず読みやすい
・明朝体と一緒に使うことを想定してつくられたので、明朝体との相性がよい

「MS明朝・MSゴシック」より「游明朝・游ゴシック」のほうが美しく、読みやすいフォントです。長くお仕事をされている方は「MS明朝・MSゴシック」に馴染みがあるかもしれませんが、「游明朝・游ゴシック」を使ったほうが、読み手にとってわかりやすい文書をつくることができます。

しかし、「游明朝・游ゴシック」も完璧なフォントというわけではなく、ウェイト(文字の太さ)が細いと読みづらくなるという弱点があります。

そんなときは他のフォントを試してみるのはいかがでしょうか?

Google Fontsを使ってみよう!

ここまでご紹介した「MS明朝・MSフォント」と「游明朝・游ゴシック」はダウンロードの作業をしなくてもすぐに使えるフォントですが、いろいろな会社が提供しているサービスを使うと、もっと多くのフォントが利用可能になります。

そこでおすすめなのが「Google Fonts」です。「Google Fonts」とは、かの有名なGoogleが提供しているサービスで、Windows・Macを問わず誰でも無料で自由に使うことができます。もちろん、ダウンロードすればWordなどのソフト上で使えますし、Webサイト上でも使うことができます。

「Google Fonts」で一番よく使われるのが「Noto Sans Serif」というフォントです。

「ノトサンセリフ」と読みます。最初にご説明したサンセリフのフォントにあたります。つまり日本語で言うところのゴシック体です。

「Noto Sans Serif」は能登さんがつくったフォントではありません。製作したのはGoogleとAdobeです。Adobeは世界的に有名な会社で、我々uzumakiのようなデザイナーが使うソフト「Illustrator」「Photoshop」などを提供しています。

「Noto Sans Serif」の最大の特徴は多言語で対応しているということです。フォント名「Noto」の由来は「No more tofu」。コンピューター上で表示できない文字があると、文字の代わりに小さい四角□=通称「豆腐(tofu)」が表示されることがあります。この豆腐をなくすために開発されたのが「Noto Sans Serif」ということです。日本語以外も約1000以上の言語に対応しています。

「Noto Sans Serif」はこんな特徴があります。

〈特徴〉
・クセがなく、小さい文字や長文でもクリアに見える→視認性が高い

・複数のウェイト(文字の太さ)がある→デザインの表現の幅が広がる

・本文、見出し、キャッチコピーなど、あらゆる場面で活躍する→汎用性が高い

「Noto sans serif」は美しくて使いやすいフォントなので、すべての人におすすめできるフォントです。ぜひダウンロードしてみませんか?は以下リンクからダウンロードできます。
https://fonts.google.com/

※Googleフォントの注意点
Googleフォントは、フォントを製作した会社とGoogleが契約を結んで提供されているので、その会社との契約が終了すると公開が停止されることがあります。ダウンロード・インストールすればパソコン内で使えますが注意が必要です。また、契約内容によって商用利用などの利用条件も異なります。ダウンロードの際は契約書をよくお読みの上ご使用ください。

「Noto Sans Serif」以外にもおすすめのフォントがいくつかあるので、ご紹介します。

〈ゴシック体のフォント〉

①Noto Sans JP

Google Fontsを代表するフォントとして本記事で紹介した書体。正式名称は Noto Sans Serif ですが、アプリケーション上では「Noto Sans JP」と表記される事が多いです。

②Zen Maru Gothic

特徴…明朝体や角ゴシックより漢字の角がやわらかくなめらか。安心感と信頼感を演出できる。

〈明朝体のフォント〉

①Noto Serif JP

特徴…Noto Sans Serifと仲間。可読性が高く、ウェイトも豊富なので様々な場面で活用できる。

②Hina Mincho

特徴…ひな人形のように繊細で上品な雰囲気。優雅さや品格を感じさせる。

〈デザイン系のフォント〉

①Dela Gothic One

特徴…超極太で横長のフォルムが特徴的。力強さや安定感を表現できる。

②Dot Gothic 16

特徴…16×16のドットをベースにしたレトロなピクセル感が特徴的。ノスタルジックな雰囲気を表現できる。

次の一歩でフォントをもっと使いこなそう!

今回のuzumakiブログではフォントについてお話ししました。基本の「明朝体・ゴシック体」について、会社員に馴染みのあるあのフォント、もっと使いこなすための便利なサービスのお話まで、きっとみなさまのお役に立てると思いますので、ぜひご活用ください!

フォントは奥が深く、日々進化しています。今回お話しできなかったあれやこれやも、また機会があればご紹介します。みなさまもぜひ「Google Fonts」を利用して次の第一歩へ進んでみましょう!ここまでご覧くださりありがとうございました。

次回のuzumakiブログの更新もお楽しみに!!

| design | 10:08 PM | コメント(0) | トラックバック(0)
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