uzumaki blog|アートディレクター/グラフィックデザイナー 宮田圭介の日々を綴っております。

2024年賀状 制作の裏側をご紹介します。

2024年が始まったと思ったら、あっという間に2月も中旬に入ろうかというタイミングになりました。厳しい寒さが続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。忙しさにかまけてすっかり遅くなってしまいましたが、本年もよろしくお願いいたします。本日は2024年のuzumaki年賀状について、紹介させていただきます。

今年のuzumaki年賀状のテーマは…「アツくいこう。」 なぜこのテーマで制作に至ったのか、そしてその工程をおおまかに5つの項目に分けて紹介していきます。

1.アイデア出し

2.再度のアイデア出し→企画化

3.仕様の決定

4.決定案の実制作

5.印刷・梱包

それでは順番にご説明いたします。

1.アイデア出し

いつもは若手デザイナー複数名+代表ADでアイデア出しを行いますが、今回はデザイナー1名+代表ADで行いました。

干支にまつわる龍由来の案、2024年のパリオリンピックにちなんだ案、正月らしいメンコのような案など、企画となる前のアイデアの種をたくさん出していきました。

年賀状はお客様の要望、依頼といった解決すべき明確なお題のようなものがあるわけではなく、年賀状を送る目的を自分たちで探して設定していく段階から考える必要があります。そのため、アイデア出しの段階では、テーマを探すというような時間が大部分になります。

○なぜ「アツい!」なのか!?

今年パリで行われるオリンピックネタ、干支の龍ネタ、懐かしの遊びネタ…アレコレ考えてはみたのですが、やや決め手に欠けるところがあり、これだというテーマが見つかりませんでした。そこで代表の宮田が近年興味を持っていた“シュリンクフレーション”という現象を軸にもう一度考えてみようという事になりました。

○シュリンクフレーションとは?

商品の価格は変わらないまま内容量がシュリンク(縮小)してゆく経済問題で、インフレーションの形態のひとつ。実質的な値上げに消費者が気づきにくいことから、レーダーに映らない戦闘機になぞらえてステルス値上げとも呼ばれる。

○なぜシュリンクフレーションなのか?

昨今の原材料・人件費の高騰にメーカー側はどう対応するのか。値上げするよりも内容量を減らした方が売上・利益へのダメージが少ないと過去のデータから判断して対応しているのでしょう。しかし一方で以前からのユーザーは「値上げしても良いから中身を減らさないでくれ」と訴えます。熱心なファンほどその傾向は強いのではないでしょうか。

  • チョコレートの隙間が、不自然なほど空いてしまっていたり。
  • 複数個入りのパンが、価格は据え置きで1つ減っていたり。
  • お弁当がブーツでもないのに厚底になっていたり。

こうした近年見られる、奇妙かつ悲哀も感じられる社会現象に興味を抱いていました。そういった日常観察的な視点を元に、シュリンクフレーションをとっかかりにして弊社のメッセージを乗せていこうという方向性になりました。

シュリンクフレーションを表現する方向性をさらにいくつか考え、薄くなったり、スカスカになったり、軽くなってきている世の中の流れに反し、もっとにぎやかで分厚い、満足感溢れる商品(弊社の場合は企画・デザイン)の提供を目指そう!という考え方の方針が決まりました。

【2.再度のアイデア出し→企画化】

企画の核が決まったあとは表現の方向を探ります。

  • 何かしらの表現で「アツい」と感じていただけるものにしたい。
  • 年賀状に相応しい「めでたさ」はやはり必要。
  • uzumakiのグリーティングらしいハッピーな印象にしたい。

シュリンクされている代表的な例として挙がりやすいポテトチップスのような、袋とチップス型のカードのようなもの。モチーフ自体が通常よりも厚くなっているようなイメージのイラストをステッカーにしたもの。などなど様々な案を検討し、物理的にぶ厚いカードで、正月らしい、もしくはお祝い感のあるモチーフをイラスト表現で制作することで上記を達成することを目指しました。

その過程では、モチーフはどういったものがふさわしいのか?バランスや数などの検討、厚いといってもどれくらいの厚さが可能なのか?予算や納期の設定、そしてどこの業者様なら対応可能なのか?などを調べていきました。そして、複数の印刷会社さんやりとりしつつ、今回の条件に合うような仕様を探ります。厚さの表現に関しても立体物のように箱にして厚さを表す案など様々な可能性の中から絞り、「合紙(ごうし)」という何枚かの紙を重ね合わせて一枚にし、厚さを出すという手法で制作することにしました。

制作の中で裏面にアツさにまつわる格言を入れることになりその表現もいくつかの中から探りました。

【3.仕様の決定】

同時並行的にいくつか進めていきつつ最終的に正月モチーフのイラストを6枚、厚いカードにして送ることにしました。厚さは5mm程度の厚みで各所に打診しましたが、結果としては予算が許す範囲内で一番厚い2.5mmで進めることになりました。

送り方に関しても真空パックにするのか、箱なのか、金の台紙に貼り、透明の袋にいれるのかなど様々検討し、結果としては赤い封筒に四君子(しくんし)と呼ばれる重箱などにも用いられる蘭、竹、菊、梅の中にうずまきくんが紛れているというデザインを制作しました。

【4.決定案の実制作】

当初はコンセプトがスピーディに伝わるようにモノクロのそぎ落としたものでしたが、めでたさuzumakiらしさとのバランスの中で色や質感を調整していきました。

【5.印刷・梱包】

封筒と同じ紙の挨拶状にメッセージを印刷し、折り加工やカットなど約300部強を、スタッフ1名が1日がかりで行いました。その後、3名で半日かけてラベル貼り、封入、挨拶状にカードの貼り付けをしました。

こうして全ての梱包作業を終えた後、皆様の元にお届けしました。

以上が、今年の年賀状の制作過程でした。楽しんでいただけましたでしょうか?

近年、年賀状、暑中見舞いなどのグリーティングカード・DMは、廃止されたり、実施されたとしても特設webサイト・LPやメール・SNSに代替されて、簡易的に済ませてしまう企業が多いと思います。そういった手法はコスト面や簡便性では大いにメリットがあるのは確かなのですが、それは送り手のメリットに偏っていないでしょうか?(webサイト・LP、メール・SNSで送ることに意味があり、受け手側にメリットが大きい場合は別として)そしてこういった手法はすっかり当たり前になってしまい、アクセス・開封せずスルーしてしまう方は多いのではないでしょうか。

そんな現代だからこそ、有効な差別化としてアナログな(物理的な)グリーティングカード・DMが有効な手段として浮上してきているように感じています。また、デジタルとアナログを組み合わせてさらにメッセージ性、訴求力を強める、というアプローチもあるかと思います。

今だからこそリアルな“モノ”としてのグリーティングカード・DMに、とっておきのメッセージを乗せて顧客に届けたい!そんなアツい想いをお持ちの方は、是非一度uzumakiへご相談いただけたらと思います。

〈2024年賀状 無料サンプルプレゼント!〉

この「2024年賀状」ですが、お手元にない方で現物を見たい!欲しい!とご希望でしたら、お問合せフォームより「2024年賀状希望」と記入の上、送信ください。社員が丁寧に梱包してお送りさせていただきます。

※残部数に限りがあるため、品切れでお届けできない場合がございます。予めご了承くださいませ。

最後になりましたが、お読みいただきありがとうございました!本年も引き続き暑中見舞い、年賀状を制作予定ですので、またお知らせ出来たらと思います。 よろしくお願いいたします。

| design | 9:15 PM | コメント(0) | トラックバック(0)
コメント

コメントする

comments:

name:

email:

url:

トラックバックURL
https://uzumaki.tv/archives/3906/trackback/
トラックバック